なぜコンプライアンス違反が起こるのか

ここのところ、マスコミでホテルの食材の偽装問題が頻繁に取り上げられています。
有名ホテルの偽装、しかも潮干狩りのあさりのように次から次へと出てきて、偽装していないところを探すほうが難しいのではないかとさえ思ってしまうほどです。

このような違法行為をコンプライアンス(法令遵守)ができていないということで、コンプライアンス違反とここではいいます。
このコンプライアンス違反、偽装だけでなくもう少しおとなしい非表示なども含めるとかなりの件数にのぼると思われます。
例えば、米トレーサビリティ法の産地表示など、多くの飲食店は行っておりません。
上場企業ですら行われていないところがあるというのですから、コンプライアンスって何?といいたくなります。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
今回は、これを考察したいと思います。

これはまず、小売業や飲食業は小規模事業者(小売業ならパパママストアと呼ばれる規模です)が非常に多いということがあげられるでしょう。
この規模の事業者は、全体として法令に関する知識が低く、問題意識も低い傾向があります。

また、このような規模が小さい事業者は数多く存在しています。
例えば平成19年のデータでも100万件以上の小売業者が存在し(卸売りの3倍程度)、そのうちの半数近くは2人以下の事業者です。
飲食店も同様と思います。
結果、多くの事業者がコンプライアンスを意識しないということが考えられます。

これだけ事業者が多く、しかもコンプライアンスに関心が薄いということは、全部の店を処罰することが難しいからうちはやっても大丈夫という意識になりやすく、モラルハザード(正確にはモラルではないのですが)が起こりやすい状況を作り出しています。
故にコンプライアンス違反が常態化している状態で、関係者も感覚が麻痺しています。

その上、移り気でシビア、しかし専門知識は持ち合わせていない(最近はプロ以上に知識を持った消費者も増えましたが)消費者と直接的に関わっているので、消費者の気持ちを損ねないようにという意識が非常に強いといえます。
最近は財布の紐も固いので、その気持ちは今まで以上に強いでしょう。

経営者は、かつては暖簾を大事にしましたが、最近は目先の売上高だけを追い、暖簾を評価しなくなりました。
法律にあるものは(自分は守っていないのに)皆が守って当たり前という意識を利用した結果でしょう。
いわゆる「失敗の本質」です。

そうすると、感覚麻痺の状態で半数近くある小規模事業者はコンプライアンス違反、消費者の財布の紐が固い今、売上をあげるためにどうしたら良いか・・・うちも違反したらいいんじゃないの?という図式が見えてきます。
さすがに悪質な偽装は現場は難色を示したと思いますが、やらないと自分が切られてしまうため拒否できなかったのだろうと思います。

他にもあるかもしれませんが、大きな理由はこの辺と思います。
これらが情報化社会となったため世に知れ渡りやすくなったことが今回のような騒動になったのでしょう。

この状態からの回復は茨の道といえます。
上から下までどこをとってもコンプライアンス感覚が低いのですから。

リスクマネジメントシステムの構築、新しい評価基準の策定、監視体制の構築・・・かなりの難事業になることが予想されます。
特に法務とリスクマネジメントに明るい人材を育成しないとまた同じことをすると思われます。
しかしやるしかありません。

かつては人の噂も75日でしたが、今は75日あったら会社が潰れる時代です。
早急にコンプライアンス体質にすることが重要です。

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