ハラル認証は本当に必要なのか?

2回ほどハラルに対して肯定的な内容を書いてきたので、今回はやや否定的な内容を書いてみたいと思う。

ハラル食は確かに体に悪いものではないだろう。
イスラム(ムスリム)客は安心して入ることができるかもしれない。

しかし、本当にそれは望まれているのだろうか?
また、本当にハラル認証を取得して良いのだろうか?

私は、もしかしたらハラル認証は必要ないのかもしれないと考えている。
理由は以下の通りだ。

1.和食はハラルなものが結構ある
煮物や生鮮野菜、刺身、蕎麦うどんなど、和食はハラルに該当すると思われる料理がかなりある。
元々仏教由来のものだからかもしれないが、肉類が少ないためにそのような心配が少ないのである。
それ故わざわざハラル認証を取らなくても良いのではないかと考えるのは自然だろう。

もっとも、てんぷら(元々はポルトガル料理らしいが、てんぷら油に豚のラードが使われている可能性)やみりん(アルコール扱いの問題)を使った料理は厳しいので注意は必要である。
さらにこれらが使われている料理が一部でも調理されているとなると、それだけでハラル認証的には問題なので厳密にはかなり厳しいのだが・・・

余談だが、イスラム圏の人の通常の食事=ハラルではない。
彼らのイスラム教の考え方に適合したものであれば和食であってもハラルであるし、認証は取得できると考えられる。

2.わざわざ日本にまで来てハラル料理を食べたいか
観光客というのは、非日常を味わうために旅行をするといってもいいだろう。
食はその最たるもので、よほど口に合わないというわけでなければ、わざわざ他所の国にまでいって自国の料理を食べたいとは思わないだろう。

は、。
それを食べるので、観光客に需要はあまりないのではないかという考えもある。

たしかに日本人がイタリアやスペインなどに行って現地の日本料理を食べたいかといわれたら、ほとんどの人がNOだろう。
これはありうる話である。

3.イスラムの思考の変化
最近はイスラムも非常に寛大な解釈をする人たちが都市部を中心に増加しており、あまり気にしない傾向があるという。
イスラム圏の国の都市部にはとんこつラーメン屋があり、現地の人が普通に食べているという話も聞く。
旅行中はノーカウントという考えの方もいるらしく、この場合その間は気にしないらしい。

長期滞在者も同様で、以前バングラディシュの留学生に聞いてみたところ、日本では女性の肌の露出も多いし豚由来の食べ物も多く、気にしてられないので日本にいるうちは無理だと割り切っていると答えてくれた。

これから経済発展に従い寛大な解釈をする人がますます増加すると思われるので、わざわざハラル認証を取る必要性はないのではないだろうか。
そう思う方もこれから増加していくだろう。

4.他の宗教はどうなる?
これが一番の問題になるだろう。
イスラム以外の方は、ハラル認証を快く思わないのではないかということである。

食の禁忌は、イスラムだけでなくほぼ全ての宗教にあるといってもいいだろう。
仏教にもキリスト教にもユダヤ教にも当然それは存在する。

ただ禁忌があるだけなら良いが、ハラルは動物を屠殺する際アラーに祈りをささげなければならないという決まりがある。
これは他の宗教からみるとノンハラルだろう。
むしろ何もしないほうがマシだ、ということになる。
あちらを立てればこちらが立たずというわけである。

以上のような問題があり、ただハラル認証を取得すれば良いというものではない。
意外とその導入は難しい問題をはらんでいるのである。

結論として、ハラル認証を取得する場合は、イスラム教徒をビジネスのターゲットにすることを明確にした者が取得すべきものなのだと私は考える。
しかし、マネジメントシステムとしては優れているし(ISOやHACCPのシステムが利用できるのでそちらで十分かもしれないが)、宗教上の禁忌を含めた独自のシステムを構築するのは、外国人観光客への良いアピールになる。
これは多くの飲食業者に行ってもらいたいものである。

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