会社法一部改正について

先日、大学で講義をしてきました。
例年この時期に依頼されるので、講義をすると夏だなという気がします。

さて、先月の話になりますが、会社法の一部改正が国会で可決されました。
かなり大きな改正です。
1年6ヶ月以内に施行される予定とのことです。
一応平成27年の4月から施行されるのが有力視されています。  

大まかな項目は以下の通りです。
1.企業統治関係
(1) 監査等委員会設置会社制度の新設
(2) 社外性要件の厳格化
(3) 会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定権の監査役等への付与
(4) 第三者割当規制  

2.親子会社関係
(1) 多重代表訴訟制度の新設
(2) キャッシュ・アウト法制の整備
(3) 株主による組織再編の差止請求
(4) 詐害的な会社分割における分割会社の債権者保護  

その他細かい改正もありますが、おおまかにはこんなところです。
ものすごく大きな改正ではありますが、基本的には大会社、特に上場企業向けの法改正のため、中小企業にはあまり関係がないかもしれません。

この中で中小企業でも関係がありそうなところだと、2(4)の「詐害的な会社分割における分割会社の債権者保護」の新設でしょうか。
これは、会社分割をする際、恣意的に債権を分割するもので、最悪の場合、債権者は分割された法人が破産等してしまうと債権を回収できないという危険がありました。

これを是正するため、「吸収分割会社が吸収分割承継株式会社に承継されない債務の債権者(以下この条において「残存債権者」という。)を害することを知って吸収分割をした場合には、残存債権者は、吸収分割承継株式会社に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる。(改正法759条4項)」としたのです。 要するに、わざと払わないつもりで分割した場合は残ったほうの会社に請求できるとしたわけです。  

これだけは、中小企業でも影響があります。
しかも、現状このスキームに巻き込まれる危険性があるので注意をする必要があります。
取引先の会社分割には十分ご注意ください。  

一方、上場企業の方は、対策をとるべきことがたくさんあります。
特に1(2)の「社外性要件の厳格化」は厳しい課題といえるでしょう。
社外取締役設置の 義務化こそ見送られましたが、法務省令により「社外取締役を置いていない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を報告しなければならないことになりました。  

しかも社外監査役が2名以上いることをもって「相当の理由」とすることはできないといわれており、外国人株主が多いところは特にですが、社外取締役をおかなかった場合、株主からの突き上げが予想されます。  
来年4月に改正法が施行された場合、6月の株主総会ではこの改正法が適用されるため、この対策は喫緊の課題といえるでしょう。  

また、これにあわせて社外役員の定義もより厳格化されました。
これにより親会社の役員や役員の親族なども社外ではないとされるようになります。  

対策として、本改正で創設される監査等委員会設置会社に移行するという方法も考えられます。
これは、監査役会ではなく3名以上取締役で構成される監査等委員会を設置するもので、指名委員会や報酬委員会、執行役は設置しない形になります。  
監査役にはない議決権がある、指名委員会等設置会社(以前の委員会設置会社)より使いやすいというのを狙いとした方式で、検討の価値はあるかと思います。  

ただ監査等委員会は、この改正法が施行しないと選択できないのが難点です。
来年4月施行だとかなりタイトなスケジュールになるので、対応できるかがカギになりそうです。

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